観劇日記 白雪姫 体現帝国

演劇のイロハを知らない私にとっては観に行くきっかけは俳優であることが多い。それで今回はチケットをとる際にかなりためらった。

 

授業の時は足立さん・川本さんがとても魅力的だった。表情と身のこなしが「体現帝国」の名と重なって、あぁこれは正解だと思った。きっと川本さん1人でも100人入る劇場で最後列の客まで巻き込んで場を『支配』するだろう。と。

 

私にとって『支配』は重要で、客は舞台に上がれないのだから舞台が観客を巻き込んでくれないと世界に入れない。その影響力がないならテレビでいいと思っている。

 

果たして今回の白雪姫では圧倒的支配力のある俳優がいただろうか。きっとそれを担うのはあざとさ、姑息さ、いやらしさで藤村さんがポイントになると思っていたが、近藤さんの迫力、声の良さが強くて驚いた。大きな身体のわりに癖のない動き。いいじゃない。

 

そして『圧倒的支配力』で言うとそれは渡部さんだったと思う。空気感、美的センスはもとより、シンプルながらも上質な、がうまい。「今回の公演終えて⑨」は充分伝わっているし、⑧に対しては今まで俳優目当てで観にいってた劇場を演出で選ぶのも悪くないと思えた。魅せたいものは伝わるし入り込めるし、俳優もそれに付いてきてるというか、噛み砕いて理解できていたと。なんとなくそう感じた。

 

小劇場で1番嫌いなのは、俳優と脚本が合ってないことだ。5人しかいない出演者がバラバラだったり、その脚本なら小説で読むほうが面白そうだとか2次元のほうがしっくりくるとか脚本も俳優もどっちもダメとか。それでは意味がない。

どうしても個々の表現が強くて寄せ集め感が拭えなかったりすると、やっぱり何年も同じ方向を向いてやってきた劇団員のほうが1つの『作品』として作りあげる力はハンパないと思う。そういう所からも今回の白雪姫はズレなく音楽も含め『作品』として完成度高いなーと。

 

小劇場はとくに「スタッフの客の扱いが雑」なのが気になるのだが、慣れていないコチラとしては、公共施設でない路地裏とか地下室とか訳の分からない所に行くだけで不安なのだが、TIGNスタッフは最初から丁寧でとても助かる。

 

今回は高尚な、洗練された、という部分で私とのズレがあったものの、次も足を運びたいと思えるものだった。同じものを、10年後にもう一度観たいかな。

 

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